どうして歯周病にかかるの?
なぜ、歯周病が引き起こされてしまうのか?
それには3つの因子がかかわっていると考えられます。
微生物(細菌因子)
歯周病の直接の原因は歯に付いた歯垢(プラーク)。歯周病の原因となる細菌などの微生物のかたまりである歯垢が増えていくと炎症がひどくなり、歯周ポケットも深く大きくなります。それと同時に歯周病の進行が促進します。
生体因子
歯周病は、その人の全身の状態と大いに関係があります。若い間は免疫機能がきちんと働いていますが、年を重ねるにしたがって少しずつ免疫機能は低下していき、歯周病に対抗する力も弱まっていきます。また、妊娠・糖尿病・骨粗しょう症なども要因としてあげられます。
環境因子
生活習慣も歯周病の進行と深い関係にあります。たとえば、たばこを吸う人は白血球の働きが不調和になり、細菌に抗しきれず、吸わない人よりも歯周病にかかる率・悪化する率が高くなります。また、不規則・不摂生な生活・過度なストレス・偏った食生活・歯磨き不足歯ぎしりなども歯周病の発病や悪化の要因になります。
あなたは大丈夫?歯周病にかかっている人の割合
私たちの身体の状態は日ごろの生活習慣と深いつながりがあります。そして歯周病も生活習慣が大きくかかわる生活習慣病のひとつなのです。歯周病のかかりやすさは、体の疲労度や食べ物の好き嫌い、休養、喫煙、飲酒、歯磨きの頻度や方法、補助清掃用具の使用状況などと密接に関係していることが、統計学的に示されております。
えっ、タバコで歯が抜ける?
これでも貴方はタバコを吸いますか・・・?
タバコは健康を害する可能性が高く、心臓疾患やガンなどの命を奪う病気と関連が高いあることは多くのメディアでも取り上げられています。しかし、歯周病とも深い関連があることは、日本ではまだあまり知られておりません。
予防先進国の欧米各国ではすでに20年以上前から喫煙者の歯周病は、吸わない人と比べて重度であると研究されております。喫煙は歯周病を悪化、進行させ、治療の予後にも悪影響を及ぼし歯周病の再発や歯の喪失にも関与します。したがって、歯周病の治療を受けたあと良い状態を保つには、禁煙が大変重要になります。もし、どうしてもタバコがやめられない人は、せめてタバコの本数を減らし、これまで以上に歯磨きをするようにしてください。
タバコに含まれるニコチン、タールなどの有害物質
タールが歯に付着 |
→歯の汚れ、歯垢が溜まりやすくなる |
→歯周病の増悪 |
ニコチンが粘膜から吸収される |
→細胞の機能低下 |
→傷の治りが悪くて治療が進まない |
ストレスと歯周病の関係
過度な精神的負担が体に悪影響を与えることはよく知られています。ストレスが原因で胃潰瘍がひどくなるという話は有名です。ストレスによって胃酸の分泌量が多くなり、胃壁が傷つきやすくなるからです。また、寝不足や過労がたたっても体の抵抗力も落ちます。胃潰瘍と同じく、ストレスと歯周病との間にも関連性があるらしいことが最近の研究で明らかになりつつあります。
ストレスがひどくなると内分泌まで影響が及び、唾液中のステロイドのレベルが上昇します。すると、歯周病菌に感染しやすくなり、歯周病が進行していきますので、忙しくストレスをかかえていても、自分の歯の健康のために歯磨きをがんばってほしいものです。
精神的・肉体的ストレス
↓
・唾液中のステロイドのレベルが上昇
・免疫抵抗力の低下
↓
歯周病菌の感染・歯周病の悪化
★参考文献Ⅰ
『酸化ストレスと歯周病』 生活習慣病・血管病としての歯周病
李 昌一
神奈川歯科大学大学院 横須賀・湘南地域災害医療歯科学研究センター・ESR 研究室
★参考文献Ⅱ
ライフスタイル環境に関連した歯周病のリスクファクター
雫石 聰
大阪大学歯学部予防歯科学講座