当院の歯周病治療は、ほかの歯科医院と何が違うのか?
大きくは次の3つの点で他と異なります。
患者さんのやる気
1)患者さんとの関り方が違う
2)治療の流れが違う
3)使用する機械・器具が違う
この3つの違いによって、患者さんは次のことが可能になります。
自分の歯は自分で守ることができるようになる |
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納得しながら治療を受けることができる |
最新機器による効果の高い治療を受けることができる |
こちらでは、当院の歯周病治療システムについて1つずつ説明していきます。
患者さんとの関り方が違う
患者様との関わり方も異なります。
下に図で説明したように、通常は上段の歯科医師中心のコミュニケーションだと思います。しかし、当院では下段の患者中心のコミュニケーションをとっています。
結果として、治療後に、悪くなったら歯科医院に行けばいいと言う思いから、本来の「自分の歯は自分で守ることができるんだ」という気持ちに変わっていきます。


結果として、患者さんは従来型の「医療者:診てやる側、患者:診られる側」という主従的関係(パターナリスティック)ではなく、我々医療者と信頼関係が生まれ治療が終わったときに「自分の歯は自分で守る」という意識が高くなります。
このような関係でありませんと「患者さん特有の私の歯周病」は解決しないのが現実なのです。
治療の流れが違う
他の歯科医院との最も大きな違いが、この治療の流れでしょう。
当院では、ひとりの患者さんに対し、診療時間を最低一時間取るようにしております。これはコミュニケーションを充分とり、リラックスして治療に臨んでいただきたいからです。
本当に自分にとって歯周病を治すには、何の治療が必要かが手に取るように納得し、理解できるようになります。
ステップ1 精密検査(Examination)
口全体の総合的な精密検査に基づく治療計画によってはじめて快適なお口の健康を、末長く得ることが可能になります。
また、この検査は私達医療者が一方的にあなたのお口の状態を淡々と検査するのではなく、私達と一緒にあなたの現在の状態を把握して今まで悪化してきた原因を探求していきます。
そのために3回(3時間)を使って精密な検査を進めていきます。
初回
1. 口の中(口腔内)の写真撮影
2. 上下の歯型の作成(1組)
3. 補綴物(つめ物や冠)の適合状態
4. 歯の現状検査



(将来的な歯周病のリスク判定)

初回
1. お口の中及び顔写真撮影(5枚組)
2. 上下の歯型の作成(1組)
3. お口全体のレントゲン撮影
4. 虫歯の検査(視診)
5. 歯周病の検査(歯周ポケット測定、動揺度、出血判定)
6. 歯垢の付着状況の検査(虫歯・歯周病のリスク判定)
歯科用レントゲン/顎関節レントゲン・セファロ(必要時)

私の第一選択は左のレントゲン写真(10枚法)です。
従来型の右のレントゲン写真(パノラマ写真)と比べて初期の歯周病の状態も把握しやすいものです。
レントゲン撮影前に患者さんに2つのレントゲン写真の利点・欠点を説明している所で、説明後に患者さんの了解を頂いてからレントゲン写真を撮ります。
2回目
1. 歯型模型をご一緒に見て
2. レントゲン写真をご一緒に見て
3. アゴの関節・咬み合わせの検査:咬み合わせの影響で歯を支えている歯ぐきや骨に悪影響を起こしているかを診る
4. 口腔粘膜・リンパ節の検査(口腔癌の簡単なチェック)口腔内小旅行(お口の中を一緒に観察します)
5. 治療についてご希望のお尋ね
3回目
検査結果を詳しく説明と原因の説明
治療予防計画の提案
治療にかかる時間、及び長期計画治療の説明
デンタル・ドックの流れ





ステップ2 歯周病治療プログラム(お口の健康を守るステップ)
このプログラムはただ歯を磨くことを練習するだけでなく、我々スタッフがあなたのお口に健康が戻り、その健康を生涯維持することができるように知識と情報を提供する大切なステップです。
治したのにまた悪くなり、また治す。その繰り返しの結果、歯の神経を失ったり、歯が欠けてしまったり、気が付くと歯を失っているのです。歯周病になっているということはあなたのお口の中が火事になっているのと同じになっているのです。
あなたは大工を呼び、家を建て直そうと思っていませんか?大工よりまず消防士。そう、歯周病という火を消すことが先決なのです!この治療が終了する頃には、健康に一歩近づいたご自分のお口に気が付かれることでしょう。
1回目
【1】生活習慣の確認と糖質摂取状況の話(歯周病はその方の生活習慣によって引き起こされる病気なので歯周病になりやすい生活をしているか質問する。また歯周病菌に影響を与える糖質の摂取状況を確認する)生活習慣の改善が必要な場合はその提示を行います。
【2】患者さんが現在行っているブラッシング用具と方法の確認とその理由の確認します。
【3】位相差顕微鏡を使って実際にお口のなかにいる細菌を観察していただきます

【4】歯垢をカラーテスター(赤染め)することの意義を認識してもらいます。
2回目
【1】PCR(プラークコントロールレコード)をおこなっていきます※PCRが20%以下が歯周病の管理の第一目標なので一週間患者さん自身で行ってきた方法で何が足りなかったのかを患者さんと担当衛生士がともに考えていきます。
※歯垢(プラーク)は24時間で口の中(口腔内)の細菌が固まって形成されるので患者さんの自己責任が歯周病を治すかどうかにかかっています。
自宅でのケアが大事なのです。歯石を定期的に取っていれば歯周病は防ぐことはできないのです。あくまでも患者さんが主体で歯周病は治していくものなのです。わかりやすく言いますと右の図のようになります。
※上記のことを踏まえながら前回、またはご自宅での状態と比較していただきどうであるかをご一緒に見てみましょう。

【2】バス法
一週間歯垢を赤く染めていただきますと、患者さん自身にもどこに歯垢がよく付くことが分かってきます。
(歯と歯ぐきの間や歯と歯の間)そこで効果的な歯垢の除去方法としてバス法やデンタルフロスの仕方を指導していきます。

【3】デンタルフロスの使い方をお話していきます(前歯を中心に行います)
※フロスの目的、効果的な使い方をここで詳しくご説明いたします。
※サークル法で行います。これがフロスを楽に隅々まで行って行ける秘訣です。
※その方のペースでかまいませんので、あせらずゆっくり行っていきましょう。
※このデンタルフロスがみなさんの歯や歯ぐきを救うといっても過言でありません。

3回目
【1】PCRのスコア(20%以下が現在の患者さんの目標)をつけます※フロスを使っていただいたところはどう変化しているかよく観察していただきます。
【2】バス法のチェックをいたします
※苦手としていたところは、できるようになったでしょうか?ご不明な点は何なりとお申し付けください。

【3】デンタルフロスの練習(臼歯を中心に行います)
まず、前回行った前歯の復習をいたしましょう。
※前歯が大丈夫そうでしたら、臼歯部をしていきましょう。
※もし、大変できにくそうであれば次回に。または患者さんによっては補助道具(ウルトラフロス、歯間ブラシetc)の方に変えさせていただく場合もあります。

【4】歯肉がしまってきますと歯石が見えてくることがあります
歯石でフロスが入らなかったり、ひっかかり動かない場合、その部位のみをスケーリング(グロススケーリング)を行います。
デンタルフロス習慣となってきましたでしょうか?
4回目
【1】赤染めしてPCRのスコアをつけます※染色状態に変化は見られてきていますでしょうか?
※また、歯肉の発赤、腫脹などに変化がでてきていますでしょうか?
よく観察してみましょう。
【2】バス法の確認をさせていただきます
※強さ・角度・ブラシの先の当たっている範囲を確認してみましょう。
【3】続いてデンタルフロス(ウルトラフロス、歯間ブラシ)も確認していきましょう
※奥は見えにくいので、主に音でうまくいっているかどうか判断していきましょう。
【4】その他の補助的道具が必要と思われる方には衛生士のほうで道具を選んでご紹介していきます
※特にブリッジや部分入れ歯をしていらっしゃる方には補助的道具が必要な場合が多いようです。

【5】2度目の口腔内写真をお撮りします

【6】歯肉の状態をはんていするために溝を1本の歯で6箇所測定していきます
※歯周ポケット数値(3ミリ以下が望ましい)、出血状態は検査時と比較しどれぐらいの変化が出たのでしょうか?
結果は次回お知らせします。お楽しみに・・・

5回目
【1】赤染めしてPCRのスコアの記録をおこないます※1回目と比較し%はどこまで少なくなったでしょうか?
【2】安全域である20%以下になっていればいいのですがもし残っていれば何が原因なのか患者さんとともに担当衛生士が判断します。
【3】予防プログラムの目的を確認
1. 「自分の歯や歯ぐきは自分で守るもの」ということの意識改革が患者さんの中にきちんと芽生えているか確認します。
この頃になるとPCRスコア(歯垢のつき具合の指標)の低下と歯ぐきの腫れ・出血の改善、口臭の消失が起きてきているとおもいます。このような患者さんにでできるはずの口の中の衛生環境の確立が順調に起ってきていることが大事です。
どこが患者さん自身の歯垢の管理(セルフケアといいます)で改善されたのかを提示したり、またどこがこの予防プログラムだけでは改善できないのかを明確にしていきます。
5回目頃の患者さんからは下記ような感想が多く寄せられます。
1) ブラシを歯ぐきに当てても痛くない。 |
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2) 歯がグラつきが収まりしっかりしてきた。 |
3) もっと早く正しいブラッシングを知りたかった。 |
4) デンタルフロスを毎日しないと歯を磨いた気がしない。 |
5) 相手の口や歯に目が行くようになり、関心をもつようになった。 |
6) デンタルフロスをして自分の口の中の詰め物の状態がよくわかった。 |
【4】プラークコントロールの最後の確認を行います
※バス法、デンタルフロス、その他の道具は、使うのが当たり前になったでしょうか?
毎日同じリズムでできるようになったら終了です。
使用する機械・器具が違う
Nd:YAGレーザー
歯周病でドロドロになっている歯ぐきの内部をレーザーで焼いてしまう(蒸散)ことで、新鮮な歯ぐきを復活させることができる。また、歯石もレーザーで取れやすくなる。 |
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レーザーをあてることで歯ぐきのコラーゲンも復活するので、歯ぐきが肉厚で丈夫になって歯周ポケットも浅くなっていく。 |
さらに、エナメル質にもレーザーをあててフッ素を塗ることで、通常より10倍ほど酸に溶けにくくなる。 |
結果として、歯周外科手術や歯周内科療法などを行わなくても良いケースが多い。 |
通常のレーザー機器の約3倍の価格のため、導入している歯科医院は少なく、横浜市南区では長島歯科クリニックにしか置いていません。 |
P-MAX
超音波スケーラーのさらに微細なもので北海道大学の姫野教授が推奨している。このP-MAXでのスケーリングは、歯石を除去する効果が高い。(はじめはその効果にビックリしたくらい) |
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このP-MAXによって改善したことで、歯周外科手術まで至らないケースも多い。 |
ただし、歯の根の先が曲がっている場合、その先まで届かないケースもあるので、単一での使用には限界がある。 |
EO水
人体の健康には影響のない強酸性水で、微生物を不活性化、あるいは、死滅させる効果がある。歯周病菌にも有効。 |
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器具の滅菌・消毒のみならず、お口の中の洗浄、口内炎、歯周炎によるポケット内、根っこの治療などに幅広く利用。 |
ステリHCIO
近年、マスコミやテレビの健康番組等で歯周病の特集などでも取り上げられている次亜塩素酸水の生成器。 |
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次亜鉛素酸には自己免疫由来の殺菌成分があり、生体安全性が極めて高く、10年以上の研究開発が進められておりまたこの殺菌効果が様々な分野で証明されつつあります。 |
歯周ポケット、根管内の洗浄・除菌に機能を特化した機能水で、生成直後約480ppmの次亜塩素イオン(OCl-)が歯周ポケット・根管内のタンパク質やバイオフィルムを溶解・破壊した後に、約20ppm次亜塩素酸(HClO)が除菌をするため、効率よく除菌することが可能。 |
PH9.0(弱アルカリ)。スケーリングなどで使用する場合、脱灰の危険性も少ないので、安全かつ、効率よく使用することでできる。 |
高齢の患者さんへの歯周病治療で気をつけること
65才以上の高齢者人口は3461万で総人口の27.3%となっています。
一日30人の患者が来院すれば8人の方が高齢者になる訳ですから結構な数になります。
先日高齢者(80さん)の対象となる患者さんから入れ歯はつらいのでインプラント治療を相談されました。
横浜市南区の長島歯科クリニックとして歯周病治療の際に何に気をつけるかといいますと、それは?
1)全身の健康状態(血圧はいくつか?・糖尿病になっているか?どんな病気を患っているか?)
2)どんな薬(ビスフォスフォネート製剤・抗凝固剤等)を飲んでいるか?
をお聞きしました。
2)の詳細
(1)骨粗鬆症の治療に使用されるビスフォスフォネート製剤は抜歯・インプラント治療にあたって顎骨壊死の危険性が高まるといわれます。
(2) 脳血栓や心筋梗塞の再発予防に使用されるワーファリンやバイアスピリンの抗凝固剤は血をかたまりにくくするくすりなので抜歯や出血を伴う治療には注意が必要です。
患者さんも2)の事はほとんど知らないのは無理もありません。
この事実についてお話をすると
「若い頃にもっと歯を大事にしておけばよかった」
っとおっしゃっておりました。
歯周病が進んでグラつきだした歯は、次々と抜歯対象となり、そのたびに入れ歯が大きくなり食事も美味しくなくなり辛い日々を過ごす事が多くなります。
悔いを残さないためにも、今からできる最善の歯周病治療の方法を
横浜 南区 長島歯科クリニックとして微力ながら提供していきたいと思っております。
【参考文献】
日本口腔外科学会
ビスホスホネート系薬剤とインプラント治療 |日本口腔インプラント学会
統計トピックスNo.103 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)
歯を失う原因第1位 歯周病 – 沖縄県歯科医師会
予防プログラムとブラッシング指導との違いは?
長島歯科クリニックの歯周治療予防プログラム(NBM主体:患者さん参加型)が
従来型のブラッシング指導(EBM主体:こうあるべきだ!・医療者主導)と違う所は?
横浜南区で歯周病治療に携わっていて、以下の事を患者さんが私(長島)に訴えてきた従来型ブラッシングのワースト4です。
①毎回歯医者に行くたびに、先生から磨け磨けと言われるから行かなくなった
②自分ではちゃんと歯みがきしているのに怒られるので、嫌になった。
③虫歯治療で来ているのに、ブラッシング指導を強要された。
④毎月クリーニング(PMTC)をしてもらっているのに、なんでもっと磨けと言われるのか?
我々歯科の先生やスタッフが患者さんの歯や歯ぐきの事を考えて、
患者さんにとって良いと思う行為が治療を受ける患者さんにとって逆効果になる場合が多いのです。
これは、EBM(Evidence-Based-Medicine:医学的根拠に基づく医療)の弊害です。
エピソードⅠ
治療終了後に1年経ってから、新たに一本虫歯ができて治療が必要になった時です。
患者さんから「長島先生に言われた通りにメンテナンスに来ているのに、虫歯ができるのはおかしい・変だ!」と言われ
私(長島)は「○○さんが家でのケアが十分でないから虫歯になったのですよ!」と上記のEBM(科学的根拠に基づく医療)で治療の説明や必要性も伝えました。
すると怒って帰ってしまい、来院が途絶えてしまいました。
すべては私(長島)の責任で患者さんの気持ちを「自分の歯や歯ぐきは自分の責任で守る」まで高めることができなかったからなのです。
専門的な視点でもあるEBMが、患者さんとの信頼関係を一瞬で壊したのです。
この教訓をいかして
横浜南区長島歯科クリニックの歯周病治療として洪水のように氾濫するメディアやネットからの誤った影響で、歯周病予防だけでなく虫歯予防には
A)患者さんの積極的な参加(モチベーションの向上、自分の歯は自分で守る意識)
B)生活習慣の改善を伴って日常生活における努力(セルフケア)
が絶対に必要不可欠である、という結論に至りました。
この2つの事に着目して構築したのが長島歯科クリニックオリジナルのNBM(Narrative-based-Medicine)の考えを取り入れていた歯周治療予防プログラムなのです。
このNBMとは患者さんとの対話と信頼関係を重視して、科学的根拠である医学と患者さんとの溝(Gap)を埋めるものであります。
歯周病治療の成功の鍵=クリニックでの治療行為/日常生活での努力(セルフケア・ホームケア)
上記にありますように、歯周病治療の成功の鍵はセルフケア・ホームケアが土台となって初めてクリニックでの治療が成功するのです。
横浜南区長島歯科クリニックにおいての歯周病治療コンセプトはNBMを取り入れ患者さんのセルフケア・ホームケア能力を高めることでクリニックでの治療成績を高めております。
【参考文献】
NBM(Narrative-based Medicine)-物語と対話による医療
NBMとEBMは、こうイメージすれば理解しやすい!