歯周病の治療方法

歯周病は、患者さんの努力次第でしっかりと改善へと向かわせることができます。

歯周病というのは「歯を支えている歯周組織(ししゅうそしき)が細菌感染よって破壊される病気」で、言い換えると細菌(プラーク)によって歯周ポケットが深くなることで発症します。歯周組織というのは、歯ぐき、歯槽骨(歯を支えている骨)、歯根膜(歯と歯槽骨の間を結んでいるもの)、セメント質(歯の根の部分をおおっているもの)のことです。

歯周病の進行状態

1. 歯茎が赤く腫れてきます
2. 歯槽骨が壊されてきます、歯を磨くと出血します、膿が出ます
3. 歯周靱帯が壊されて、歯がぐらつきます。強く噛めません。
4. 歯が抜けます。

最初は痛みも感じませんが、確実に進行します。


歯周病に関して4つの大切なこと
1)まずは歯周病検査の実施
2)歯周病治療プログラムによるプラークの管理(歯ブラシとフロスなどによる)
3)治療の目標は歯周ポケットを浅くする事と上下のかみ合わせの調和
4)定期検診による維持管理
上記の4つのうち、もっとも大切なのは2番の項目です。患者さん自身が本当に治そうと思えば、その分だけ結果としてしっかり返ってきます。患者さんの力が75%で医療者の力が25%で歯周病は改善していきます。

歯周病はどうしたら治るの?進行させないためには?

歯周ポケットにプラーク(歯垢)がたまって起こる病気(出血、歯ぐきの腫れ)なので、

【1】毎日の患者さんによる歯垢の管理(プラークコントロール):75%
【2】歯科医院での定期的な状況の確認と専門家によるケア:25%

が2大中心となります。

【1】の内容

 当医院では予防プログラムにおいて、各々の患者さんに合ったプラークコントロール(ブラシ、フロス)の仕方を提案しております。

 また必要があれば生活習慣の改善(喫煙、食生活、ストレスなど)もお願いします。


【2】の内容

 ブラッシング方法や生活習慣に問題がないかをアドバイスしていきます。

 患者さんによる歯垢の管理のできない場所を医院で管理します。

 患者さんのモチベーションの確認

歯周病かどうかを調べるための検査内容

歯周病は歯周ポケットが深くなることから起こる病気ですが、検査項目は…

➀ 歯周ポケット検査
・2㎜以下:健康
・3~6㎜:歯周病の可能性がある(中等度)
・6㎜以上:歯周病が進行している(重度)

② 歯の動揺度検査
歯周ポケットが深くなると歯が動いてきます。
・調べたい歯をピンセットで挟んで動かし、その時の動く状態によって歯周病の進行度を調べます。

③ 歯茎の出血検査
歯周ポケットの深さを測ったときにプラーク(歯垢)が残っていると出血してきます。
出血の場所は歯周病菌が破壊中の状態です。

④ レントゲン検査
歯周ポケットが深くなってくると歯を支えている骨が減ってきます。

以上の4つの項目を総合して客観的に判断していきます。

歯周病治療には大きく分けて2つあります

①医療者がクリニックで行うプロフェッショナルケア
②患者さんが自宅で行うホームケア(プラークコントロール)

①プロフェッショナルケアの成功は②ホームケア(プラークコントロール)の如何にかかっていると言っても過言ではないのです。

先日患者さんから次のようなお言葉を頂きました。それは、

「歯周病を防ぐためには定期的に歯医者さんに行ってクリーニングしてもらったり歯石を取ってもらえばいいのですよね?えっ、違うの?」
「そうか!私が家で頑張るのは先生との共同作業なのですね!私も先生におんぶにだっこではいけないことがわかりました!自分も頑張らないとね」


と、言ってくれて嬉しくなりました。

②ホームケアを成功させるためには患者自身が自分の歯を守ろうとする強い意志が必要です。難しくしている要因の一つとして進行状況と自覚症状が一致しないケースが多く見られます。
また患者さんのやる気を引き出すことの困難性もあります。

当院で歯周病治療を行う際には・・・

初診時(1時間)→精密検査(3時間)→歯周病予防治療プログラム(5時間)
の計9時間にわたって

1)何が問題なのかについての患者さん自身の考え

2)今までの歯科経験や口腔に対する将来への不安

3)今の問題が咀嚼機能や全身に及ぼす影響

4)その問題に対する歯科治療への期待

も伺い患者さんとの信頼関係の構築に努めております。
とにかく歯周病治療には医療者や患者さんにとっても時間と忍耐が必要なのが実情です。