歯周病治療に関するQ&A

Q. 歯周病の検査はどのようなものですか?

歯周病の検査ではまず、歯周ポケット(歯と歯肉の間にできたポケット状の裂け目)の深さを特殊な器具で計ります。健康な人でも歯と歯肉の間にはわずかな隙間があります。これを歯肉溝と呼びますが、これはせいぜい2mm程度までで病的な歯周ポケットとは全く違うものです。それ以上の深さになりますと、歯周ポケットである可能性が強く、歯周病に罹患している危険性が高くなります。この歯周ポケットを検査する時に(専門的にはプロービングと言います)、同時に歯周ポケットの底の部分の炎症状態も知ることができます。プロービングによってポケットから簡単に出血するようでしたら、ポケットの内部は強い炎症状態にある、と判断出来るわけです。

Q. 歯周病の検査ではどんなことがわかりますか?

歯周病は特殊な細菌による感染症ですから、感染の状態がどうなっているのかを調べることが検査の中心になります。この歯周病を引き起こす細菌を媒介するのがプラークと言われる歯垢です。ですから、なにより最初に歯の周りにこのプラークがついていないか、あるいはプラークがつきやすい環境を提供している歯石がないかを詳しく調べます。
歯周組織に初期の感染が生じると歯肉の辺縁部に炎症が起こります。歯肉が赤くなったり、少し腫れたりします。そして、徐々に感染が進行するに従って歯肉の内側にまで炎症が波及します。その深さが深いほど歯周病は進行していると判断出来ます。

Q. 歯周病は全身疾患と関係があるのですか?

歯周病の直接的な原因は細菌性のプラークですが、その背景には、全身の病気や遺伝、嗜好、生活習慣等が、危険因子として関与していることがあります。反対に歯周病からの炎症により重篤な疾病を引き起こすことがあります。最近では、妊婦が歯周病になると歯周病になっていない人に比べて低体重児を出産する危険性が約7倍になるなど歯周病が全身に及ぼす危険因子になっていると報告されています。

Q. タバコは歯周病に関係しますか?

タバコは歯周病の最大の危険因子と言ってもいいかもしれません。タバコを吸う方は吸わない方の5倍から26倍、歯周病が進行しやすいと言われています。
また喫煙者に歯周病の治療をしても治りにくいという事実もあります。ある研究では、喫煙本数が20万本を超えると非常にはっきりした影響が出てくるそうです。1日20本吸って47歳ぐらいで20万本になります。
また皆様がご存じのように喫煙は歯周病だけでなく、肺がんや口腔がんの発生率もかなり高くなります。百害あって一利なし。健康のためにぜひ禁煙に取り組みましょう。

Q. 歯周病は遺伝しますか?

歯周病になりやすい人となりにくい人がいて、その原因がある種の遺伝子の違いによることが分かってきています。よって、重い歯周病に罹っている方がいる家系では、特に歯周病の早期発見・早期治療の努力と予防の注意が必要です。

Q. 歯周病は若くてもかかるのでしょうか?

通常は40代後半から50代をすぎたあたりではっきりとした症状が出る方が多いのですが、近年では早期発現型歯周病といって、10代から20代で歯周病かかる人も珍しくないです。検査を受けていただければ1週間程度で結果がでますので、歯周病の疑いがある場合は一度検査をうけてみてはいかがでしょう。

Q. 歯周病の進行に個人差はありますか?

歯周病の原因は細菌ですが、その細菌に対する反応には個人差があります。風邪をよくひく人もいれば、ほとんどひかない人がいるのと同じように、歯周病の進行度には体質(免疫力)が大きく影響します。また、体質以外にも歯周病に影響を与えるものには、喫煙や糖尿病、そしてストレスなど様々な要因があります。したがって、同じように歯を磨いていても、歯周病の進行度には個人差がでてきます。患者様ごとの体質やリスク、習慣等を把握し、それぞれに適した治療計画を練ることが大切です。

Q. 歯周病は他人にうつりますか?

はい。歯周病は、歯周病の原因菌による感染症です。ですから、親子間、夫婦間、そして恋人同士の間でうつる可能性はあります。実際、口の中の細菌の遺伝子を調べると、近親者の間では、同じ型の遺伝子を持つ細菌が検出される頻度が高いようです。感染経路は、食べ物等の口移しやキスなどによるものが考えられています。しかし、細菌が定着するかどうかは、その人の持つ抵抗力やブラッシングの程度によって違ってきます。しっかりお口の中のケアをしていればそんなに心配することはありません。

Q. 歯周治療を受けたら歯ぐきが減ったように見えるのですが?

日常的にデンタルフロスや歯間ブラシを使うようになり、きちんとセルフケアを行うと、歯肉が引き締まり歯ぐきが下がったように見えることがあります。これは歯周病が改善されてきた証拠と考えてよいでしょう。また、それが原因で水がしみる事がありますが極端にしみる、我慢できないという場合は相談してみてください。