こんにちは、横浜市南区弘明寺の長島歯科クリニックです。
今回は「なぜ、ブラッシング指導から歯周病治療は始める必要があるのか?」についてお話をいたします。
1:なぜ?ブラッシング指導から始めるのか?
我々歯科関係者には当たり前なことですが、これは先日患者から言われて、ハッとしたからです。
患者さんと医療者のギャップを埋めることが重要です。
歯周病は歯垢(プラーク)の状況によって起こる病気だからです。 よって歯周病の治療は歯垢管理(プラークコントロール)がメインのテーマになります。 しかも、自宅で行うホームケアによって決定されるという事実です。 |
そのために患者さん自身によるブラッシング能力を高め、そして維持するかにかかってきます。
しかし歯周病を気にして困っている患者さんの中で磨いていない方はおりませんし
皆さんに聞くと、
「先生!一日3回も磨きますよ!おまけに歯間ブラシまでやっていますよ!」
と言う方が多いですが、専門家目線で言いますと磨けていない方がおおいのが実情です。
診査、診断をしっかり行い、患者さんの自分自身に対する想い・希望を聞き同意を得てからブラッシング指導が始まるのです。
Ⅱ:ブラッシング指導が不十分な状況で歯石除去やPMTC(歯科医院で行う機械を使ったクリーニング)を行ったら?どうなるのか?
以下のことを患者さんはご存知ないです。
それは我々医療者の発信情報不足から来ていることです。
ブラッシング指導が十分に出来ていない状況で 歯周ポケット4ミリ以下での 治療を行っても治りが悪く、再発し悪化する傾向が多い |
歯周ポケット内の歯周病に関連した細菌は患者さんが自宅で行っているブラッシングが十分でないと一時的に減少しますが、1~2ヶ月で歯周ポケット内の細菌数は治療前と同数になるのです!
歯周治療はけっして患者さんにとって楽ではなく、むしろ辛いものです。
その大変な苦痛までして行った治療が台無しなってしまいますから、効果のあるブラッシングの能力を持つことは非常に大事なことなのです。
Ⅲブラッシング指導は継続性が大事
患者さんは歯科衛生士と協力して歯ぐきの腫れ・出血が止まっても、油断するとすぐに戻ってしまう方が多いです。
歯周病治療は時間がかかるものです。
それは歯周病になるまでには時間がかかった分それを食い止め現状維持のためには、かかった年数分が必要となります。
継続的な指導により、ブラッシングの技術習得の維持にもつながりますし 自分の歯を守ろうとするモチベーションの低下を防ぐ目的もあります。 |
参考文献Ⅰ
歯周疾患々者に対するブラッシング指導の実際チャートを用いての指導について
川崎 仁
参考文献Ⅱ
池野 直人, 笹谷 育郎, 高瀬 俊博, 藤井 敦子, 石川 純
北海道大学歯学部歯科保存学第二講座